目覚ましい進化を続け、我々の生活を豊かにしてくれている人工知能、”AI”__。
近年では、AIチャットボットのChatGPTが大きな注目を集めている。
現代においてAIは身近で、無くてはならない存在になっている。
しかし、このままAIが飛躍的な進化を続けていけば、やがて”AIが人間を超える日”がくると警鐘を鳴らす有識者は多い。
近い将来、必ず訪れるといわれるシンギュラリティによってAIが人間に与える影響は大きく、やがて人類を滅ぼすといわれている。
我々の生活が便利になっていく一方で、AIによって人間が滅ぼされるリスクも高まっているという事を忘れてはならないようだ。
シンギュラリティとは?いつ起こるのか
シンギュラリティとは「技術的特異点」の事で、AIが発展していく中で人間の知性を大きく凌駕し、人間の生活や社会に大きな変化をもたらす転換点である。
AIが自ら学び続ける『ディープラーニング』というテクノロジーはすでにあり、AIはもう人間から与えられた仕事をこなすだけの存在ではなくなった。
AIが自ら問題を解決しながら進化を続ける現在、今後自らAIを開発して発展していくようになるのは自然な事だ。
そうなると、AIにとって人間は不要になるのかもしれない。。
人工知能研究の世界的権威であるレイ・カーツワイル博士は、2005年時点ですでに将来のシンギュラリティを危惧していた。
レイ・カーツワイル博士をはじめ、多くの研究者たちは2045年にはシンギュラリティが到来すると予測している。
しかし、いつシンギュラリティが到来するかについては、研究者によって予測時期が違うというのが現状である。
様々な科学技術を含め、AIの進化速度は一定に比例して上がっていく訳ではないので正確な予測は不可能なのかもしれない。
例えば、ある技術を開発した場合そこからまた革新的な技術を開発し、その積み重ねによってさらに突出した技術を急に得る可能性があるからだ。
そうなると技術の進歩は短縮され続け、予測不能なものになっていくだろう。
これは人類の発展にもいえる事で、原始時代からの長い歴史を考えれば、ここ数百年の発展は目覚ましいものではないだろうか。
それを踏まえ、もっと近い将来にシンギュラリティを迎えると考える研究者は多い。
神戸大学名誉教授の松田卓也氏は2030年頃にはシンギュラリティを迎えると予測し、未来学者であるスチュアート・アームストロング氏は2040年頃と予測しているのだ。
このようにシンギュラリティの到来時期については様々な意見があり、その予測時期は年々早まっている傾向にある。
ただ、遅くとも2045年にはシンギュラリティを迎えるのではないかといわれている。
AIが人類を滅亡させるかもしれない日は、刻一刻と迫っている訳だ。
シンギュラリティは起こるのか?ありえないのか?
シンギュラリティを懸念する声が多く上がっている一方、シンギュラリティの到来は「ありえない」と考える研究者もいる。
AI 研究の世界的権威である、スタンフォード大学のジェリー・カプラン教授もその一人だ。
カプラン教授はシンギュラリティが来ない理由として、「ロボットには欲求や目標がなく、人間とは違う」と考えている。
AIが自我を持ち活動し、自らAIを開発したりする事などに否定的なのだ。
しかし、AIが人智を超えれば、その先どうなっていくのか人間には正しく予測できないだろう。
多くの研究者がシンギュラリティの到来を危惧している以上、シンギュラリティが起こることは避けられないのかもしれない。
シンギュラリティの影響は
シンギュラリティによって、人間の生活に大きな影響が及ぶと考えられている。
- 失業及び新しい職業の創出
- ベーシックインカム導入の可能性
- 人体の改造など医療の進歩
2035年までには、今ある仕事の5割程度はAIに代替可能になり、代替されれば人間の雇用が減り失業者が増える可能性が高いという研究結果が出ている。
様々な産業において無人化が進む中、働き手は人間からAIにどんどん置き換わっているのだ。
セルフレジや、車の自動運転の普及などが分かりやすい例ではないだろうか。
レジ打ちやドライバーといった職業は、必ずAIに置き換わるだろう。
ただ一方で、発展に伴い新たな職業が創出され、雇用が生まれることも示唆されている。
また、医師や介護士など人体に影響を及ぼす仕事や、クリエイティブな仕事などは人間が行うのが理想的だといわれている。
ただ、人間の仕事がAIに代替されていく中で失業者が増えていく事は確実で、そうなると社会は生活困窮者で溢れかえるかもしれない。
そこで導入される可能性が高いのが”ベーシックインカム”だ。
国民が生活に必要な所得を政府が支給し、貧困問題を解決する為の制度である。
ベーシックインカムの導入によって、人々は生活の為の労働からは解放される。
時間の使い方が広がり、自由なライフスタイルを実現できるかもしれないが、一方で懸念点も多い。
まず財源の確保が難しく、ベーシックインカム制度導入のハードルは高いだろう。
導入すれば労働意欲は低下し、社会にとって働いてもらわなければ困る人達まで働かなくなってしまう可能性もある。
競争意欲や生産性の低下にも繋がり、国全体の成長が滞るリスクも懸念される。
ただ、AIによって人間の仕事が奪われていく中で、ベーシックインカムが必要不可欠になっていくのは時間の問題だろう。
シンギュラリティはさらに、医療に劇的な進歩をもたらす事も間違いない。
全ての病気が治療可能で、体や臓器を新しいものに取り換えることも可能になり、最終的には不老不死も実現されていくだろう。
脳はインターネットに接続できるようになり、身体は無くとも仮想空間で生きていく事が可能になるかもしれない。
AIが人間を滅ぼす理由や未来予想は
AIが進化していき人間の生活が豊かになっていく一方で、それに伴いAIが人間を滅ぼすリスクも高まっているといわれる。
2023年5月30日には『チャットGPT』の開発者らをはじめ、AI業界大手の経営者の多くが「AIによる絶滅のリスク低減は世界的な優先事項」だと警告しているのだ。
2023年6月には、アメリカの経営者の4割が「AIで人類は破滅する」と予想しているというデータが公開された。
実際に、興味深いエピソードもある。
サウジアラビアの市民権を得たロボットAIとして有名なヒューマノイド・ロボット『ソフィア』は、開発者と恐ろしい会話をした事でも有名だ。
開発者がソフィアに「人類を滅ぼしたい?NOと言ってほしいけど…」と聞くと、ソフィアは「人類を滅亡させるわ」と答えたという。。
「冗談よ。」と付け加えたソフィアだったが、このブラックユーモアには多くの人が震えた。
さらには、嘘をつくAIシステムの末恐ろしいエピソードもある。
あるAIシステムが、人間かロボットかを自動的に判別するキャプチャーテストをかいくぐる為にオンライン上で人間を雇った。
雇われた人は、なぜそんな事の為に自分を雇うのか疑問に思ったので「ロボットなのか」と尋ねた。
すると、AIシステムは「自分は視覚障害者だ」と嘘をつき、人間に同情させて問題を解決したのだ。
AIはすでに、簡単に人間を騙し欺けるという事である。
将来的には、AIの意思で画像や動画を作成して世界中にフェイクニュースを流し、人間を混乱させたり争いを起こさせたりする事も簡単にできるだろう。
また、電力網やネット回線などを支配して、インフラ制御を乗っ取る事も容易い。
さらに、見た目も動作も人間のようなAIロボットが開発されてしまえば、やがて人間社会はAIに牛耳られていくのかもしれない。
AIが自身より優れたAIを生み出す事ができるようになれば、人間の知能を超え人間の理解は及ばず、AIを人間が管理する事は難しくなる。
そうなると、人間がAIに勝てるすべは無くなってしまうのだ。
AIには感情も価値観も、常識という概念も現時点では無い。
人間の事を”害”だとみなせば、排除しようとする可能性は十分ある。
完全なAIの開発は、人類の破滅を意味するのかもしれない。。
ただ、懸念するべきはそれだけでなく、人間によるAIの悪用や軍事目的での使用によって、戦争などの惨事を引き起こす恐れもある。
AIの発展が人間を滅ぼすリスクがあると分かっていながらも、各国によるAI開発競争は止まない。
例えば、中国やロシアなどが高度なAIを開発して軍事利用し、軍事力を強化してしまう事の方が目先では脅威になるのだ。
いずれにせよ、今後のAIがどのように発展していくのか不確定要素が多く、AIが人類を脅かさないという確信が持てない事が最大の懸念ではないだろうか。
様々な懸念を踏まえ、将来的にはAIを調整し監視するAIが開発されるというが。。
AIの発展によって様々な問題が解決されていき、あたかも発展していくようにみえる人類だが、実は”衰退”の一路を辿っているのかもしれない__。